時代を逆行する革職人たち

ビンテージギター風染色ハーフウォレット

どうもKING OF LEATHER宇高です。

「流行は回るのだから、そこに居続けることが一番の最先端」by KING OF LEATHER

10年前と比較しただけでも時代はかなりかわった。
時間への概念が特にそう感じる。

最近は音楽のテンポもすこぶる速いし、サービスを提供する側の速度も2倍速じゃないと追いつかない。

なぜこうなったのか。
この根底にあるものはなんなのか?

それはきっと商品もコンテンツも増えすぎたからだと思う。

増えた結果、「選択」に時間がかかるようになった。

とにかくやることが増え、たくさんあるから選択に時間がかかる。

ラーメン屋でいえば麺の硬さ、味の濃さ、油の量を100種類から選べるようなもの。

提供側も購入者側も選び疲れるに決まっている。

一番の問題はそのラーメン屋のルールを自分自身で決めていないということ。

でも不思議なのは「うちはただのしょうゆラーメンのみだ!」
というお店だったとしても問題はないのに。

ただそれが時代にあっていないとか、古いとか、頑固だとか、これもまたAIに勝手に脳に刷り込まれていく。

向こうの店では選べるのに、なぜ選べないというように、みんな比較が大好きだ。

私は比較より皮革。

その比較基準がかわっていく根底にあるのは、この誰かが誰かのタイミングで勝手に決めたルールによってだ。

時代が変わることが問題なんじゃない。
それは昔からそうだし。

ただ、昭和から平成、時代が緩やかに変わっていた時代というのは、

「人々が少しづつ変わって、それに伴って時代が変わっていた」

今はちょっと違う。

人々が変わったのではなく、

「誰かが誰かのタイミングで勝手に決めたルール」

によって変わっていく、いや、変わらされていく、そんな感じ。

「時代が変わるのが早い」というが、
正しくは「誰かが勝手にどんどん時代を変えていく」だ。

人々はそれに追随することで精一杯になっている。

「大量の商品廃棄」

無駄な資源を大量に捨てているのと同じ。

だけど時代が簡単に変わるために、「流行」とやらは待ってはくれない。
流行からはみ出したものたちは、すぐさまゴミとなる。

こういったことがヒートアイランド現象を経て、多かれ少なかれこのゲリラ豪雨にも関係しているのだと思う。

レザーというのは基本的に食用となった牛などの革を使う。
副産物なのだ。

革製品を使うことは極端にいえばゲリラ豪雨を止めること。

さらにレザーの中でも土に還る革がある。
それがタンニン鞣しの革

当ブランドのヌメ革などもそのひとつである。

逆に化学薬品を使用したクロム鞣しという革がある。
ただクロム鞣しの問題は、鞣す際に出る工場排水に含まれる重金属が環境に良くない。

なのになぜクロム鞣しの革が巷の商品では多いのか。

それはクロム鞣しは皮から革になるまでのスピードが速い。

ヌメ革などのタンニン鞣しは1~3か月。
クロム鞣しは1~5日。

クロム鞣しは安価で大量生産に向いているのだ。

当ブランドはこの時間のかかって革になったヌメ革に、
さらにわざわざ染色に時間をかけて、そしてわざわざ手縫いで太い糸を縛りながら縫っていく。

どうあがいても、時代についていける方法ではないのだ。
ついていくどころか、停滞、もしくは逆行している気さえする。

無駄になりそうな大量の商品をつくっていくことはなかなか辛い。
たぶんハンドメイド作家さんの大半の人はそうだと思う。

でもそんなことはみんなわかっているのだけど、
楽でスピードが速くて儲かりやすい方へ流されていってしまうのは、
タンニン鞣しの素晴らしさが途絶えて、世界に広がらないから。

この皮から革になって商品となるまでの手間暇と、
さらには永く使用できる耐久性と、廃棄する際の地球への優しさを
考えた上の価値をちゃんと理解されていないから。

結局、売れやすい安価なものを大量に生産する思考に負けてしまうひとたち。
消費者を育てなければ、例え良いものでも、そういった手間もコストもかかるタンニンの未来はないのだ。

時代を逆行する革職人たち。
そうじゃない、

倍速のスピード社会で生きていては、見落としてしまうものがある。

時代の最先端は環境を大切にするココロだ。

革職人は時代を先行している最先端なやつらなのだ。と定義したい。がんばれるから。

そろそろ世界の群衆と群衆の間を、真っ直ぐ歩くことが必要な時代なのかもしれない。

だからこのあたりでもう一度言う。

「流行は回るのだから、そこに居続けることが一番の最先端」by KING OF LEATHER

良いものを永く愛して、ただただ真っ直ぐ歩き続けたい。

ビンテージギターをイメージして染色表現したハーフウォレット。
普通に使っていてはつかないような傷も表現しました。
本物のエイジングと重なれば、ビンテージギターのような味わいが出てくるはずです。

イタリアのエルバマットレザーのシュリンクを使用しました。
濃厚なグリーンでオイルたっぷりです。
なかなか入手困難な革になってしまい、残り僅かの革です。

インナーにはエルバマットバイオレットと栃木ワイルドレザーのコンビネーションです。
エルバマットもワイルドレザーもすべてタンニン(フルベジタブル)鞣しです。

タンニン鞣しの革財布という意味を感じながら
是非ご愛用くだされば嬉しいです。

商品はこちらで販売中
https://kingofleather.jp/special/

ときにはゆったりとした人生がすき。
今は「Airsong」という曲をつくっています。

平成時代につくったあらゆるところで歌った、想い入れのある曲です。