筋トレで身体が壊れているKING OF LEATHER宇高です。
筋肉痛はほっとけば完治しますが、お財布は壊れてしまうと時が経過しても直りません。
お財布っていろんな形状、デザインのものがありますね。
紐留めタイプ、金具ホックタイプ、ラウンドファスナータイプ、がま口タイプ、革留めタイプなどなど。
もちろん好みはあると思いますが、お財布購入の際に悩まれる部分のひとつとして、耐久性というものがあるはず。
さて、この中で一番壊れやすいのはどれか?
これ、なかなか難しい質問です。
造りと素材によっても違いがあるからです。
ではすべてが同じ条件だったとしてひとつひとつ見ていきましょう。
・紐留めタイプ
紐留タイプはお財布を紐で巻き巻きして留めるタイプです。
昔の日本の貨幣「和同開珎」の穴に紐を通して使っていたということもあり、
紐留めは昔ながらの趣きがあります。
このタイプは紐が劣化していくと思います。
・金具ホックタイプ
ホックやヒネリ、マグネットといろいろな金具のお財布があります。
金具の耐久性によると思いますが、金具が劣化していくと思います。
・ラウンドファスナータイプ
財布全体をファスナーで囲ったタイプのお財布はやはりファスナーが劣化していくと思います。
・がま口タイプ
がま口の金具の質によりますが、隙間が出てくるとお金が漏れてしまいます。
・革留めタイプ
革のみの構造で蓋を閉じるタイプはアイデアと革の質、造りに強度は左右されます。
造りが悪いと革の部分が劣化していくと思います。
結局、どれも劣化はすると思いますが、革自体が劣化するよりも、金具系が早くやられます。
ここからは革屋としての見解です。
要は例え壊れても、修理のし易さというものが、非常に大切だと思います。
それを踏まえて、修理のし易さの順位をつけてみます。
1位 紐留めタイプ
利点:紐を簡単に取りかえる。
欠点:簡単に紐を取りかえられないものは修理に時間がかかる。
2位 革留タイプ
利点:劣化した部位を交換。(基本革そのものはそう簡単に壊れない。)
欠点:構造が悪いと大きな修理が必要となる。
3位 金具ホックタイプ
利点:金具を簡単に交換できる。
欠点:入手が難しい金具は困難。金具周辺の痛み具合で追加修理が必要となる。
4位 がま口タイプ
利点:玉部分を左右内側に動かすことで、緩さを直すことができる。
欠点:口金全体を交換するのは縫い穴への負担や技術が必要。
5位 ラウンドファスナータイプ
利点:特殊な金具のように、ファスナー自体が廃盤することはない。
欠点:ファスナー全体を交換となると大がかりな修理が必要。
縫い直しの際、縫い穴の劣化が避けられない。
同様のファスナー取っ手金具がない場合がある。
耐久性+修理のしやすさを合わせると、
1位 革留タイプ
2位 紐留めタイプ
3位 金具ホックタイプ
4位 がま口タイプ
5位 ラウンドファスナータイプ
という結果になりました。
当ブランド商品ラインナップでいうと
1位 革留めタイプ
The Peafowl Wallet
The Parallelworld Wallet
The Shark Orchestra Wallet
The Orikawa Wallet
The Napoleon Wallet
The Even Wallet
2位 紐留めタイプ
The Assassin Wallet
3位 金具ホックタイプ
The New+Old Wallet
The Lion’s Back Wallet
The Big Bang Wallet
The Dry Earth Wallet
The Seaglass Wallet
4位 がま口タイプ
該当なし
5位 ラウンドファスナータイプ
該当なし
ここで注意していただきたいのは、耐久性は使い方や日々のメンテナンスでも左右されます。
革のメンテナンスを怠ると、どの商品も予想以上に劣化が早まります。
必要以上にものを詰め込むと、型崩れや金具の劣化が早まります。
ものの詰め込み過ぎに弱いのはずばり「3位 金具ホックタイプ」と「5位のラウンドファスナータイプ」です。
逆にあまり詰め込まず、すっきり使うかたは長持ちすると思います。
他にお財布を購入する際に決め手にする点としては、
・修理してでも永く使用したい。
・3年おきに買い替えて使用するから便利さをとりたい。
・たくさん入るお財布、小さいお財布、薄いお財布がいい。
このあたりを踏まえると、どれが良いのかだんだん見えてくると思います。
ちなみに今回制作した紐財布The Assassin Walletです。
この紐財布は誰もが紐を簡単に交換できるようになっています。
メールをいただければ紐を送らせていただくので、お財布を発送する手間もかかりません。
以前知り合い経由で制作させてもらった、ラウンドファスナーウォレットの修理がやはりきました。
ちなみに今まで革留め財布の修理は一度もご依頼ありません。
ご依頼はホックの交換がやはり多いですね。
結論としては「革」はやはり丈夫です。
金具の取っ手が根元からへし折れていました。
ビンテージの取っ手なのですが、かっこいいけど弱いですね。。
かなりものを入れて使用していたようです。
取っ手を引く際はねじれないように直角に持って引くと壊れにくいです。
今回はファスナー自体は元気だったので、一部糸をほどいてファスナーの金具を端から入れ直し、新たな糸で縫い閉じました。
ただ糸もエイジングします。
同色の糸でも継ぎ足した糸とエイジングした糸では色合いが違うのですね。。
そこで悩んだ結果、革と糸を両方薄めたブラックで染色しました。
傷も味わいがあって私は好きなのですが、染色が剥がれた傷はあまりかっこよいものではないので。
自分のところで染色した革なので、色合いをつくるのが容易です。
染め直しが簡単なのは当ブランドの売りかもしれません。
染め直したからといって、エイジングの艶はちゃんと残りますよ。
新品状態
修理染色オイルアップ後
ということでなんとか無事修理を終えました。
修理って革の状態をみながら、失敗できないから、かなり集中力を使います。
この修理で儲かる企業もあれば、完璧な商品すぎて倒産する企業もある世の中。
自分はどうなのか?と問うけれど、
やはりなるべく修理がいらないほうが、お客さんに喜ばれることは間違いないので、
耐久性は常に頭にいれながら勉強し追及していく次第です!
夜・露・死・苦